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IT業界の下請構造を分かり易く説明する

      2016/03/20

札束ピラミッド

IT業界は建設業界は非常に良く似たピラミッド型の下請け構造になっています。

異業種の方や学生等、IT業界に興味はあるものの、下請け構造等あまり良い噂を聞かないなと思っている人に真実を伝える目的で書きます。

IT業界で働いている人にとっては百も承知な話なんですけどね。

 

さて、一言でIT業界と言っても、Web系から、スマホアプリ、SI(システムインテグレーション)まで非常に幅が広いのですが、ここではB to B(Business to Business 企業間の取引のこと)のSIについてフォーカスを当ててお話します。

何故かというと、Web系、スマホアプリ開発などのB to C(Business to Customer 対個人での取引)は比較的下請け構造が少なく、SIer(システムインテグレーションを行う企業のこと)の下請け構造が一番酷いからです。

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SIerとは何か

SI(システムインテグレーション)とは企業要望に沿ったシステム開発を、業務分析などを行いながら発注元の業務に合わせた形でオーダーメイド感覚で行うことを言うのですが、一般的に開発工数も多くなるので、金額も安くて数千万から、高いと数百億以上にもなります。

ですので、それだけ高額な仕事を受けられる企業は、必然的に体力(資金力)のある大企業だけになります。

そういったSIを請け負える企業のことをSIer(または大手SIer)などと呼んでいます。

建設業界のゼネコンをイメージしてもらえると分かり易いですね。

 

以下は有名な大手SIerの一例です。

  • NTTデータ
  • 日立製作所
  • 富士通
  • NEC

商流と単価

IT業界の下請け構造を理解してもらう為に、簡単な例をあげて説明したいと思います。

とある銀行がネットバンキングのシステムを構築したいとします。

銀行は大手SIerに見積を依頼して、大手SIerは120人月(10人作業して1年掛かる作業量の事)で1億2千万円という金額でこの案件を受注したとします。

(ここでは人月単価=100万円ですね。)

 

大手SIerの社員は基本的には管理や調整がメインの仕事になり、実際にシステム開発をする要員(SEやPG)は下請け会社から調達します。

これも建設業界をイメージして貰うと分かり易いのですが、ゼネコン社員が建設現場で穴掘ったり、足場組んだりしないですよね。

 

そこで、大手SIerは実際にシステム開発をするSEやPGを集める為に、中小規模のIT企業に声を掛けます。

但し、大手SIerも会社の維持費(役員報酬、配当、営業コスト等々)が掛かりますから、中小規模のIT企業には人月単価70万円で募集を掛けます。

 

そして中小規模のIT企業は自社で抱えている社員だけでは人が足りないので、さらに孫請けに当たる零細企業に声を掛けます。

当然ここでも中間マージンが発生するので人月単価50万円で募集します。

 

と、こんな感じでエンドユーザ(この場合銀行)との間に、会社が入れば入る程受注金額が安くなっていき、その結果、末端の零細企業で働いているSEやPGは、100万円分の仕事をしたにも関わらず、給料は30万円しか貰えない。というようなことになるのです。

 

ただ、この例はハッキリ言ってまだマシな方です。

孫請け(3次受け)までしかありませんし、間にブローカーも入っていません。

どういうことかと言いますと、この例だと下請け企業が自社の社員だけでは人が足りないので孫請け会社から人を引っ張ってきています。

しかし、中には自分の会社でシステム開発は何もせずに、人月単価70万円で募集が掛かっている仕事を、人月単価60万円で下請けに紹介するだけという会社もあります。

この場合、このブローカー会社は何にも価値を生み出していないにも関わらず10万円をピンハネしたことになります。

 

こんな感じでブローカー会社が多く間に入っているケースだと、5次受け、6次受けとかまであるケースもあります。

(一体幾らピンハネされているんでしょうか・・・。)

仕事の質

前述のとおり、末端の企業になればなるほど単価は安くなっていくので、おのずと給料も安くなっていくのですが、さらに任される仕事の質も末端の企業になるほど単純作業でキャリアアップに繋がらないものが多くなって行きます。

 

例えば、大手SIerの社員が要件定義を行い、中小規模のIT企業その要件定義を元に設計を行い、零細企業はその設計書を元に開発とテストを行う。というように、システム開発の上流工程を上位の会社、下流工程を末端の会社が担当するケースが多いです。

決して開発やテストという仕事がダメという訳ではありませんが、開発とテストしか出来ないPGよりは設計も出来るSE、SEよりはマネージメントや企画提案が出来るPMやコンサルの方が需要がありますし、給料も高いです。

 

そして、残念なのは末端の会社にいる限り、上流工程の仕事をやる機会が与えられず、仮に能力があったとしてもそれを生かす機会がないということです。

 

もちろん全部が全部こうではありませんが、傾向としてはこういうことになります。

ですので、中小零細のIT企業の求人で、「エンド直受け案件あり!」、とか「上流工程に携われます!」等をアピールしているのは、普通はなかなかそのチャンスが無いということの裏返しですね。

労働環境

SIの仕事を契約した際には必ず納品日が決まっています。

しかし、システム開発のプロジェクトが最初から最後までスケジュール通りに進むことなんて稀です。

例えば、

  • 顧客の言う事がころころ変わる。
  • 大手SIerの社員に仕様を決める能力がない。
  • SEの作った設計書が間違いだらけ。

等々、あげればキリが無い位にスケジュールが遅れる原因はあります。

 

それでも契約時に約束した納期は必ず守らなければなりません。

ですので、仮に上流工程の進め方に問題があって遅れたとして、下流工程(開発やテスト)を担当するPGは何とかして納品日には間に合わせようとするのです。

元々は設計2ヶ月、開発2ヶ月、テスト2ヶ月というスケジュールだったとして、設計が2ヶ月遅延した為に開発1ヶ月、テスト1ヶ月のようにスケジュールを変更されることは普通にあります。

こうなってくると、下流工程を担当するPGは、残業、徹夜、休日出勤が当たり前の状態になってしまい、中には体を壊してしまう人なんかも出てくるのです。(このような状態をIT業界ではデスマーチ(死の行進)と呼びます。)

まとめ

いかがでしょう、日本のIT業界の下請構造については理解して頂けましたでしょうか。

ここまで読んだ方はきっと「下請構造=悪」と思ったのではないかと思います。

 

確かに僕も半分はそう思います。でも、完全に悪では無いという見方も出来るのです。

 

どういうことかと言いますと、昔はアメリカも日本と同じように中小零細IT企業が沢山あって、その中で下請構造があったのですが、今ではオフショア化(開発やテスト等を人件費の安い海外に発注すること)が進んでいて中小零細IT企業は淘汰されていったのです。

日本では言葉と文化の壁に守られているのでアメリカ程オフショア開発は進んでいませんが、それでも日本のIT業界全体の流れとしては徐々にオフショア化になっています。

 

そうなってくると人件費の圧倒的に安い(人月単価15万円とか)海外のPGでも出来る仕事しか出来ない日本のPGは当然仕事がなくなってしまいます。

この辺りの事を考えると、「下請構造が日本人の雇用を守っている???」なんて考えたりもしてしまうのです。(イチSEの僕ごときには関係ない話かもしれませんけど。)

 

以下、まとめです。

商流が下位の会社になるほど中間マージンが取られて受注金額が安くなる。

また、下位の会社に任される仕事は難易度の低い単純作業が多く、スキルアップに繋げにくい。

上流工程のツケは下流工程で払う羽目になる為、下流工程を担当する技術者は長時間労働を強いられることが多い。

下流工程しか出来ない(やったことない)技術者はオフショア化の流れの中で淘汰されるかも知れない。

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